黄昏直前の頃の空気の匂いや味が好きである。少し冷えながらも水分と温かみを含んだ空気である。早朝の匂いとは異なり、人間の生活をしている証拠の匂いや音が含まれているからである。夕食時の台所から漏れる煙りや匂いは最高である。郷愁すら感じる。
その日一日を感慨深く振返る気にさせる。
今年も余すところ数日となった。来る年のことを考える前に、過ぎた日のことを省みる時期であろう。
保険点数の改訂やら自己負担金の増加によって、診療所の収入は大打撃である。そのなか、どうにかこうにか存続を維持できたのも来院して下さる患者様達のお陰である。医者なんて、患者様に喰わせてもらっているのだから、患者様にカンシャサマである。横柄な態度をする医者の気が知れぬ。と、云い乍らでも私自身自重しなければならぬと反省ばかりである。
自費診療の患者様達の内容が以前と少しづつ変化してきた。かつては、免疫療法の患者様が多かったが、最近は美容関連の方が増えている。私自身は、美容診療の専門家ではないがどういう訳か紹介患者様が多い。なかには、美容専門の施設での失敗例を修正することも多々ある。不思議である。確かに、「顔面プラセンタ注射」なる、変わった美容診療を多く行ってきた。なにもこれは、最新の方法ではなく、少なくとも5年以上前から彼方此方の美容診療所で行われてきたはずである。一時は、何処のHPを覗いても、高額な注射療法として掲載されていたと記憶している。一世を風靡したにも拘わらず、現在までも行っている施設は数少ない。聞くところによると、顔面注射による疼痛とは見合わない効果しか得られなかったからであるという。
私には、この方法しか無かったので注射器や針の選別、そして注射部位や方法を試行錯誤しながら注射の成績向上に努めてきた。その甲斐あってか、顔ブラセンタ目当てに受診される方が多い。しかしながら、啓蒙しなければならぬ事は、何でもかんでもプラセンタ注射なのではなく、治療手段の一つとして用いているのだと云うことを理解していただくことである。プラセンタと云えば、本年10月より、プラセンタ注射既往者は献血の対象から外されることになったと、大きく報道された。クロイツフェルドヤコブ病に罹患する可能性が否定できないからだと、血液製剤によるC型肝炎で痛い目にあった厚生省が、なますを吹いているのであろう。
ボトックスやヒアルロン酸を用いた治療も大好きであるが、適応を厳密に行っているつもりである。なぜなら、他院の失敗例を多く見ているからでもある。これらもやはり治療の手段であるから、必ずしも患者様の希望通りの方法とはならないことがある。意固地な医者である。
この1年で、色々なテクニックを磨いてきた、と云うよりも編み出してきたという方が正しいかもしれない。人からものを教わることが苦手な私としては、他人のテクニックを盗み見ては自分流に改変してしまうからだ。代表的なものとしては、自然な皺消しボトックスやメソローラと名うった薬物導入法である。現在までの患者様の満足度は良好なようである。お陰様で私流のテクニックを数カ所の診療所に伝授できた。彼等の高成績を期待する。
それにつけても、我が診療所の女性職員に感謝感謝である。新テクニックの実験台になっていただいているからである。彼女達無くしては現在の私の治療技術の研鑽も診療費を得ることも出来なかったからである。感謝感謝。
心に残る患者さまへ
どうしても、特徴ある方々を思い出してしまう、間違っても
たれそ彼は と邪推しないで頂きたい
高額診療を受けながらも、矢のような早さで退室される方、診療回転にご協力ありがとうございました。
診察室の椅子に着くなり、踏ん反り返り足を組む方、後ろで待っている患者様の事も考えて同じような質問を何度もしないで下さいね。そして、診察室を出て直ぐにきびすを返して再び同じ質問をしないで下さいね。
私が、口臭防止のためにチューインガムを咬んでいたことを諫めて下さった方、それ以来いらっしゃいませんが御注意いただいたこと感謝しております。その後、他の患者様にも、お断りを入れております。
いつも、都会では見かけないような洋装で来られる方、美顔も大切ですが服装もお気を付け下さい。
夜に来院される時にはサングラスは不要ではないでしょうか?返って注目される要因となりますよ。
何回となく説明しても、身体の大きさをわきまえずに、腕や脚だけ細くなりたいと脂肪融解注射を希望されている方、心配ありません、アナタの神経よりも遥かに御脚や御腕は細いですから。
顔面注射を受けた直後に鏡を見て云々される方、どうか以前のお顔を思い出して下さい。
お肌の改善やら皺の克服を希望されている方、どうか結果を急がないで下さい。数十年お付き合いしたお顔が悲しむではありませんか。
以前より吹き出物が増えたとか、変形したとかお嘆きの方、どうか以前の御自身の写真を良く良くご覧下さい。過ぎし日の記憶の中ではきっと美貌であったに違いないことは認めます。事実を認めて下さいね。
と、またまた 好き勝手なことを吐いてしまった。お許しを(続きは、、、、やめときましょう)
最近になり知ったことは、この私の毒舌ブログを多くの受診者が御覧になられていることである。あな、恥ずかしや。
来年は、もっと真面目な文章にしなくては、と反省しきりである。
しかし、この 毒舌ブログも御来院フィルターとして役に立っているようであるが、どちらの方向に進むべきか人生の黄昏時にいる私でさえ迷うと、ひとりごつ