昨今野菜など農作物は、生産地はもとより誰が作っているかを明らかにしています。すなわち、何を売り物にしているかと言うことよりもどのような人間がその事業を行っているかと言う事の方が大切であると、やっと認識されてきたように思えます。そこで、私の職歴等よりも現在私が何を考え何を目指して診療をしているかを明らかにした方が良いと考え、御比判頂くことを覚悟の上で今回紹介文を改訂致しました。
my opinion
威張らない媚びない
私のクリニック内には医師免許証や学位記などは掲げておりません。そして、白衣も着ていないものですから初めて来られた患者さんは果たして医療施設なのかどうか心配なさるかもしれません。免許証はさておき、学位記や賞状が無ければ患者さんたちを安心させることができないのでしたら、そのようなものを掲げること自体無意味と考えています。虚勢を張らなければ診療できないなどとそんな惨めなことはあってはならないのです。診療中は、医学的な観点に関しては専門家として接しますが、その他の事は必ずしも私が患者様よりも優越な訳ではありません。書籍の中の知識は大切ですが、患者様からの声を聞きその中から真実と治療の糸口を見つけられればと考え診療しています。所詮医師の行ていることは、人間の回復しようとする力と意思を助力するだけであります。医者が人を救えるなどとはおこがましいと思っております。然し乍ら、通院をして頂きたいが為に、媚びを売るつもりもございません。飽くまでも対等に接するべきと考えております。
無駄時間の削減
クリニックの所在地から言って、決して時間に余裕のある方たちがいらっしゃるわけではありません。従って、無駄な時間を費やさせないようにと、診察以外の無駄時間削減には最大限の努力をしています。私の育った大学では40年ほど前からIT化が進んでおり、受診後の会計処理や処方薬受領に関して如何にしたら短時間で実施できるかを努力してきたようです。数年前に私自身が訪れた都内の某大学病院や個人診療所では診療時間に比して診察後の時間が如何に長いのか驚かされました。待ち時間は無駄時間です。無駄時間を極力削減しその分診療時間を増やすべきと考えています。
また、検査結果だけを聞きにわざわざ来院させたり、あるいは処方内容の変更は検査を実施してから数週間後の再診時に変更するなど、検査の目的が何処にあるのか分かりません。あるとしたら単に医療者のデータ集めとしか考えられないのではないでしょうか?検査結果に素早く対応した処方内容の確認や変更が必要なのだと考えています。その為に私はEメールを活用しています。そうすれば、検査結果をできるだけ素早く患者様にお伝えでき、また、処方薬内容や服薬に関しての指導を再診まで待たずに行えるからであります。
無駄な医薬品の削減
しばしば見かけるのは、薬局から出てくる人がポリ袋一抱えもあるような処方薬を持っていることです。果たして、そんなに沢山の薬が必要なのでしょうか?しばしば耳にするのですが、他院での処方を見せていただくと、「これは強い薬だから、胃薬も一緒に出してもらった」というのです。何か違和感を感じぜぬにおられません。胃が荒れるような薬なら、胃を荒らすことのないような薬に変更すべきです。また、胃が荒れたという訴えを聞く前から所謂胃薬が処方されることは理解困難です。無駄処方の原因はなんでしょうか。かつて病院や診療所では院内処方が主でした。仕入れ価格によっては薬価差益を生み医療施設の経済的寄与をしてきました。しかし、同時に不要在庫を抱えることが多かったはずです。不要在庫を減らすためには、院内処方薬を販売処分しなければなりません。更に、製薬会社の専属営業マンによる執拗なまでの薬品使用の依頼、そして接待と称される歓待を受けるがために益々不要な医薬品消費を患者に強要することになったのです。医薬品による医療費削減のためにと称して、ゾロ品、いまではしゃれた言葉でジェネリック薬品を使用することが推奨されていますが、無駄な処方を減らすことが先決ではなかろうかと考えています。調剤薬局には申し訳ありませんが、処方はなるべくシンプルかつ小品目であろことに心がけています。それ故、漢方処方に重きを置いている訳です。
科目にとらわれた診療をしない
そもそも人間の体は科目別に分かれていますわけではありません。専門的に診察診療をする都合から専門分野を分けているのであります。即ち受診者のために分類したのではなく、研究者の為の分類と考えたほうが良いでしょう。となれば、受診者側から「内科をやってますか」「皮膚科もやってますか」等と質問が来ること自体不思議なのであります。大学病院では、以前から弊害と言われていた医局制度による縦割り業務により専門診察分野以外は診ないということになります。しかし、一般開業医にも専門的に勉強した分野があるでしょうが、その分野以外は診ないというのは考えものです。いつの間にか、医療施設とは専門分化していますものであると一般の受診者が思い間違えるようになってしまいました。医師免許を得るためには、全診療科目の勉強をしてきた訳ですから、診うる範囲で患者様を受け入れねばなら無いと考えます。勿論、その守備範囲を広める勉強の努力はせねばなりません。私のクリニックは、ビジネス街にある診療所ですから、比較的軽症な疾患をお持ちの方しか受診されないっこともありますので、地元の保健室のような存在であるべきと考え、身体不調には何事でも相談に応じられるよう努力してきました。
自費診療について
自費診療の中身は、免疫療法と美容診療であります。免疫療法はいまだ、厚生省も完全に認めていますわけではない分野であるために患者個人に経済的負担が強いられるのは事実でありますが、抗がん剤の副作用軽減や延命効果を計れると言うことのみならず、藁をも掴む気持ちの方にとっては希望を与えるという意味合いからも有用と考えています。勿論、高額な免疫療法が不要と考えられるような場合には患者及び家族から依頼されてもお断りすることもあります。あくまでも医者の良心に反する治療を行うつもりはないからであります。美容診療を始めたきっかけは、余命いくばくもないと言われ免疫療法を受けに来られた女性患者から美容治療を依頼されたからであります。彼女の美貌を取り戻すとともに元気を取り戻すことができました。お陰さまで、彼女はご存命であり、7年以上たった今でも元気に通院されます。すなわち、美容診療は単に見てくれだけと言われましょうが、女性患者にとっては心のケアとして大変重要なものであると考えており実践しています。私の美容診療の考えでは見かけのみを変化させようとするのではなく、顔貌に変化をもたらした原因である肌の老化を如何に回復させるかという治療が主体となっています。それ故、いわゆるフィラーと言われるヒアルロン酸等による穴埋め工事は特別な場合をのぞいては行わないことにしています。また、時には美容診療の「お試し」や安売りをしないのかと問われることがありますが、医師免許を賭けて仕事をしている訳で、「お試し気分」では医療は出来ません。また、キャンペーン価格などと称して安売りが出来るのなら、最初からその価格に設定しております。意固地かも知れませんが、変えるつもりはありません。
最後に、当院はあまり診療所という雰囲気を醸しだしていないことに関して不信感を抱かれる方がおられるかもしれません。また、長年通院されています受診者との関係は医者と患者という関係よりも友人どおしという感覚で接しています。此の様な変わり種診療所や医師ですが、この方針を変更するつもりは毛頭ありません。
ご興味を持っていただけたとしたら幸いです。
さてはて、どんな批判が来るのやら楽しみでもある。ますます受診者が減ったら。まあ、そんときはそんときだと、ひとりごつ。