本日、メソセラピーの講習会に行ってきたので、その中間報告。
メソセラピーと聞くととて分かりづらいかもしれないが、その一種に「脂肪融解注射」があると言った方が一般的かもしれない。要は、極小量の薬物を局所投与する方法、部位としては皮膚および皮下組織への注入である。元々、メソセラピーなる言葉はフランスが原産であるが、本日の講義では「本場アメリカ・・・」何か可笑しや。
メソセラピーの適応は、整形外科的疾患に留まらず、喘息やリウマチと言った一般内科的疾患まで網羅されている。しかしながら、日本の医療事情では、美容目的でしか用いられない。その理由としては、厚生労働省が認めていないのだから保険適応ではない、更に一人の治療に要する時間がはなはだ長い。そのために美容目的に特化し、更に高額医療にならざるをえない。勿論、世間の方にとっては、一般的な治療で対処できうるものを、わざわざ自費診療で受けようとは考えないであろう。
さて、美容関連に特化したものとして話を進めよう。メソセラピーの応用としては皮膚の治療が挙げられる。美肌美白効果が得られるというのである。但し、瞬時に得られるわけではない。理屈としては肌の血流改善によって肌が良くなると言うことであろう。今回の講習会では日本国内で最もニーズの多いであろう「脂肪融解注射」に重きが置かれている。嘗てこのブログの中で私も書いたが、用いる薬物は「フォスファチジルコリン」である。「本場アメリカの・・・」話とて、さして目新しいことはなかったが、フォスファチジルコリンの薬理作用として、脂肪細胞の数および容積の現象を実験的に証明できたと言うことである。
日本人、殊に美を意識する患者様の場合には、本当の意味でのセルライトは出来上がっていない。あるいは非常に早期の状態である。すなわち、セルライト状態ではないが、脂肪過多である場合か、立位ではセルライトの存在が認められても寝てみると判別できなくなる程度の沈着状況である。これらのことの意味するところは、美を意識して脂肪融解注射を受ける方達は、間違いなく効果が出るであろうと言うことである。但し、高齢でなくとも、皮膚が弛んでいる状態では効果が判明しづらいのは言うまでもない。
おっと、セルライトについての説明が不十分であった。これは、線維組織に囲まれた脂肪である。男性の場合は線維組織がメッシュ状態になるので、脂肪組織の容積は小さく、いわゆるセルライト状態を呈することはないそうである。これに対し、女性の線維組織は筋肉から皮膚に向かって垂直に発達することによりそこに囲まれた脂肪細胞は容積をどんどん増してゆく。繊維が増量し、また、繊維間の脂肪細胞の容積が増すと皮膚は繊維で引っ張られる形となりいわゆる、「オレンジの皮」状態を呈する。このような部位は血流やリンパ流が悪く浮腫状態となり益々血流悪化をもたらす。後発部位は臀部から大腿後面・側面である。セルライトを改善するにはマッサージやピーアールセル・エンダモロジーといった物理的力を加えることにより繊維組織を破壊、即ちセルライトを破壊する方法や、薬物的に繊維破壊および脂肪細胞の数や容積を減少させる手段がある。
セルライトや脂肪組織にフォスファチジルコリンを主体とした融解注射を行うと、発赤・腫張・疼痛が起こるが、これは必須のことである。なぜなら、融解注射はいわば化学的炎症を起させて脂肪細胞を破壊するからである。従って、注射後の疼痛が激烈でない限りに於ては消炎鎮痛薬を用いては効果が半減するということである。
脂肪融解注射は、おデブなら誰でも適応となるわけではない。BMIが30を超える場合(米国で30とするなら日本人なら25にすべきだが)には、このようなスーパーおデブにはまず、ダイエットなどの手法を用いてからでないと効果はない。というよりも、スーパーおデブは脂肪融解注射のような皮下脂肪にしか効果がないことだけを行っても意味がないと言うことである。やはりデブは罪悪か?また、弛んだ皮膚の持ち主は効果が乏しい。これに関しては私の主張と一致している。こう考えると、脂肪融解注射はやはり、より美を追究しようとする方達の武器であり、病的肥満には役に立たない代物であると言うことになる。
まあ、今回の講習会はあまりエキサイティングな内容ではなかった。知っていることばかりの復習であった。(昨年、韓国の先生による講習会を受けたが、初回であったためもあろうが、勉強になった。)
なにも今の時代、わざわざアメリカから高い金を出して講師を呼んでくる必要があるのだろうか?そして「本場アメリカ・・・」なんとも田舎くさい表題である。
まあ、明日もお付合いで出かけるか、とひとりごつ。